
いよいよ今年も、フィールドオブクラフト倉敷が来月に迫って来ました。
実行委員会の広報として、今年も関わっています。
本当に面白くて素敵なイベントなので、多くの方にお越し頂きたくて、
いろいろな雑誌社や出版社、新聞社にイベント紹介のお願いをしているのですが、
今年のプレス用に書いた文章をこちらに再録しておきたいと思います。
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フィールドオブクラフト倉敷は、全国からクラフト作家が集う、野外の企画展です。
野外でのクラフト展は、松本をはじめ、全国各地で開催され、
今、一つのブームとなっている感があります。作り手も使い手も、
何かそこに魅力を感じ、引き寄せられているのだと思います。
さて、その魅力は何でしょうか。
私の個人的な推測でしかありませんが、
それは「つながった感じ」ではないかと思うのです。
「モノ」自体は世の中にあふれています。
コンビニや100均や量販店やショッピングモールにデパート。
十分すぎるほどあります。でもクラフト展に足を運んで下さる。
それも年を追うごとにたくさんの方が。
あふれる「モノ」と何が違うのでしょうか?
それを考える糸口が、「つながった感じ」だと思うのです。
私自身、羊毛の紡ぎ織りをしていて、フィールドオブクラフト倉敷をはじめ、
野外のクラフト展では、糸車を持っていき、
糸ができていく瞬間を見てもらいたいと実演を毎回行っています。
ふわふわした綿状の羊毛から、糸車が回って一本の糸になっていくさまに、
子ども達は興味津々。じいっと眺めています。
ある子が「あ〜、糸ができてる〜」とつぶやいたので、
私が「そうよ、みんなが着てる服も一本一本の糸からできてるんだよ」と言うと、
「えっ、そうなの?」と驚いた様子で自分の服をまじまじと見ていました。
今の子ども達にとって(いえ大人の私たちも)、
「モノ」はすでに完成した状態でお店に置かれています。
誰が何を思ってどんなふうに作っているのか、もとの素材がどんな形なのか柔らかさなのか。
さらに、その素材はどんな環境(自然)が育んだのか。
知識としては知っているかもしれませんが、実感としてつながっていないことが多い。
バラバラなのです。
クラフトの作り手たちは、それをつなげて伝えることができる。
陶芸の人達からは、土の感触やなめらかさを教わり、
ガラスの人達からは、光が揺らぐ美しさを、木工の人達からは木のぬくもりを、
金属の人達からその柔軟性を知ることができます。
そして作り手本人からその生身の言葉を聞くとき、自分とモノと作者と自然、
そして地球がつながっていくのを実感します。
それが私が使い手としてクラフトと関わる時に感じることであり、喜びです。
フィールドオブクラフト倉敷では、その「つながった感じ」を、
他のクラフト展よりも少し多く実感してもらえると自負しています。
それには工夫があるからです。
参加する作り手の方々全員に、自分の仕事を「使い手に伝える」お願いをしています。
手仕事の実演、道具や素材の実物の展示、工房の様子の写真展示などのほか、
15文字以内で自分のもの作りのテーマを自分の言葉で表現してもらうこともしています。
会場を歩くと、木片からスプーンが削りだされる音に聞き耳を立てたり、
綿が糸になっていく瞬間に驚いたり、
小さな銅板が叩かれて鍋に変化して行くさまに感動したりできることでしょう。
自分がモノとつながり、作り手とつながり、素材とつながり、自然とつながり、
地球とつながっていく喜びを、会場を訪れた多くの方に味わって頂きたいと願っています。
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第6回 フィールド オブ クラフト 倉敷
2011年5月14日(土)・15日(日)
10:00〜17:00 雨天決行
会場 倉敷市芸文館前広場