ロムニー(ベージュ)とコリデール(白)の急須敷。

最後に羊毛を少し縮ませて仕上げるのがホームスパン生地なのですが、それぞれの品種によって、いえ、羊一頭一頭でも縮み率が違うのです。これはホームスパンの織り物をやっている人ならよく知っていることだと思います。
というのも、その縮み率にいつも悩まされているからです。柔らかい品種の羊毛の方がよく縮みます。生地にする時には普通は縮み率が均等になるように気を配るのです。例えばマフラー一本を織る時、緯糸に違う種類の羊毛、または同じ品種でも違う個体の羊毛を使ってしまうと、仕上げたあと、段によって微妙に幅が違ってきて、真っ直ぐなマフラーにならないことが起こります。これは絶対に避けなければならない失敗です。
緯糸を同じ個体の羊だけで用意するか、違う個体を使う時も、紡ぐ前の混毛の時によく混ぜ合わせるかしないといけません。
いつもはそんなふうに縮み率には非常に気を使って織っているわけですが、今回はそれを逆手にとった作品を考えてみました。
縮み率の違いを活かして、模様にしてみたのです。今回はわざと極端に異なる品種を使ってみました。